今週のお題「思い出の先生」
中学校に入学して、まあ小学生の頃から人よりは休みが多かった私は5月には週の半分を休むようになっていました。
担任の教師は入学式の時から真っ白のスーツを着ていて、その他の日は真っ赤なジャージとか着た変な人で、ああ、嫌な感じ。
部活は楽しいけれど学校は嫌い。
勉強は嫌いじゃないけど体育の授業は嫌い。
何より同級生とうまく関係を築けない自分が嫌いだった。
担任の教師が真っ赤なスポーツカーですごい音を立てながらうちに通うようになったのはいつごろか。
呼びだされても初めは部屋に篭って絶対に出なかった。だって嫌いだったし。
親もガラの悪い教師が家に来ることにあまりいい印象は受けていない様子だったけれど、なにせ私が休むと家に来るものだから。
そのうち、いい先生ね。という話になって、顔くらい見せなさい、私を部屋から引っ張りだすようになった。
で、そのうちその教師は給食を持ってくるようになった。
はじめは牛乳。そのうち、デザートや揚げパンを。
ほら、今日の給食は揚げパンだったから持ってきたよ!!
って子供みたいな顔で。
明日は来れそうだったらこいよ!
って。別に牛乳好きじゃないよ……
そんな態度にほだされて学校へ通うようになった。休んでも家に通ってくるし、なんか悪いし。っていうかあのスポーツカーで毎日家に来られるとうるさいし、近所迷惑だし。じゃあ行くしかないかって。
その教師の担当の科目は正直あまり好きじゃなかったけど、まあこの人相手なら適当でもいいのかな、とか思ってた。
できが悪くても、頑張るとほめてくれる人だった。
適当すぎて、他の教師からの評判は悪かった。
夏休み明けに髪の毛が金髪になってて、校長先生に怒られたらしかった。
1週間後、明るめの茶髪になってた。
おかしな噂も多かった。
あの生徒と付き合ってるらしい、とか。あの生徒と殴り合いの喧嘩をしたらしい、とか。
真っ赤なスポーツカーは土足厳禁だった。
学校祭とか体育祭とかイベントが大好きでいっつも全力だった。
真面目にかっちりしたことが正義だと思っていた私の価値観を壊して変えた人でした。
結局高校を中退するような人間に育ってしまったわけだけど、あの人がいなければ私は中学生の頃から不登校だったんだろうなぁと思うのでした。