あさえ がんばる

高校中退フリーターでしたが、現在はライター兼・会社員になりました

大嫌いで、大好きだった人の夢を見た

あさえです。

 

お昼寝してたら夢を見ました。自分の寝言で目覚めました。本当は途中でこれは夢かもしれないって気付いていて、それでも目覚めたくなくて必死だったのに、その必死さで声が出て、それで目が覚めました。

 

 

 

中学校に入学した時転校してきた彼は、明るくてちょっとおちゃらけてて、家は開業医でした。長男で将来は医者になるんだな、ってみんなが思ってて勉強もすごくできました。

でも勉強している素振りがさっぱりなくていつも遊んで暮らしていて、授業もあまり聞いていなくてそれでも勉強のできる人でした。

 

最初に出会った時から私は彼に対して危機感みたいなものを抱いていました。

当時の私はとても勉強ができて教師受けも良い、いい子、でした。担当教科のない教師ですら私の名前を知っていて、覚えがよくって。授業も熱心に聞いていました。本当は教師なんて大嫌いだったけど。

不登校気味になっても教師たちは私を繊細な人間なんだと思っていたようでいい子であるというレッテル自体は最後までなくならなかったように思います。

 

対照的に彼は転校当時から問題児でした。テストの点はいい、友人も多くて人間的にはとても魅力的。だけど授業態度は問題だらけ、教師にも面と向かって反抗する、積極的に煽っていくように喧嘩を売るタイプでした。

 

それでも勉強はできる。親は医者。教師たちは彼にあまり強く出られないように見えました。勉強していないのに出来る彼に嫉妬していました。でも、もっと前、彼が勉強ができると知る前。本当に出会った瞬間から彼に危機を抱いていたのです。

つまるところそれは一目惚れに似た何かだったのかもしれないと今では思いますが、男子はみんな敵だと思っていた私は、それを「大嫌い」と認識して周囲に公言したり本人にも嫌いだと言うような始末でした。

 

当時の彼はなぜだが嫌いだという私に構ってくれていました。

彼と同程度に勉強ができた(とは言っても私はかなり努力をしてその程度を維持していた)私に興味があったのかもしれませんし、面と向かって嫌いだと言われたことで逆に興味を惹かれたのかもしれません。

私も嫌いだと言いつつ、構われれば普通に楽しく話していました。そう、彼と話している時間は楽しかった。嫉妬心にかられることも多々有りましたがそれでも楽しかった。

 

つまるところ、私はやっぱり彼のことが好きだったのです。

嫌いだ、嫌いだ、という言葉を自分へ友人へ繰り返せば繰り返すだけ、好きだという気持ちが募っていきました。

 

ある日、私の友人が彼を好きだと相談してきました。

それを聞いた瞬間に私は彼への気持ちを自覚したはずでしたが、同時に忘れることにして彼女を応援しました。友人が大切だったのです。

 

結局その2人は一瞬付き合う事になりましたが、中学生同士、何をするでもなく数ヶ月で別れたと聞いています。

しかしその後1つ年下の子と付き合い始めた、とても仲がいいという噂を聞いて私は彼との接触を極力避けるようになりました。

 

彼と接触しなくなり、成績表なんかで彼の名前を見るだけになって、そのことで時々話しかけられることもありましたがあまり話したくなくてすぐに話しを切り上げて。

こう書いているとやっぱり私は彼が好きだったのです。

うるさい、あなたなんて嫌い。次は負けない。

そういって話を切り上げた私は彼を傷つけていたでしょうか。なんでもないように笑う彼でしたがきっと傷ついていただろうと思うと自分の身勝手さに腹が立ちます。

 

 

そうして私たちは同じ高校に進学しました。

私も、彼も、学力から見ればランクを落としての受験でした。

私は制服を理由に、彼は授業態度から教師に嫌われ続けた結果内申点の不足が理由でした。

 

同じ高校を受験する事を知ったのは受験当日でした。

その後は同じクラスにならないことを願って、願いどおり別のクラスになりました。

彼は高校でもあっという間に有名人になりました。

誰もが彼の名前を知っていて私はやはりそれを妬ましく思ったものです。

そうして、人数が増えたはずの高校生活で、どうしてこうまで彼の名前がまとわりつくんだろうと思いました。

私の中学からその高校へ進学したのは、私と、彼と、あと2人の男子のみで女は私だけだったので彼のことが気になる女子は私のところへ来たりもしました。

ねえ、彼と同じ中学だったのでしょう?

ってキラキラした彼女たちはとても可愛らしかった。

 

少し勉強を頑張っていたら、そのうち私の名前も広まるようになりました。

理系科目の上位はほぼ男子の名前で埋まっていたのでその中で私の名前がしょっちゅう出ることで名前が広まったようでした。高校に入って授業態度が悪化したことも原因だったように思います。ちょうど中学の時の彼のように、授業態度は悪いのにテストの点がいいやつがいる。と。

 

それでも私は家で勉強をしていて、思えば中学の頃の彼もこうだったのかなと。

しかし彼は高校でも、テスト前に残って勉強をしているかと思えば

俺、今筆記体の練習してた!一緒にする?

とか言われたり……

結局彼が勉強していたのかどうかは未だにわかりません。

 

 

高校を中退して高校の関係者とはほぼ連絡を絶ちました。

数年後、成人式の日。中学の同窓会がありました。

そこで彼と久々に再開しました。

彼は言いました。

 

ずっと心配していた。今は何をしているの?

(アルバイトだという私に対して)でも、ずっとそのままのつもりじゃないんでしょ、もったいないよ。これからどうするの?大丈夫?

 

彼の記憶に私が残っていたこと、嘘でも心配していたと言われたこと。

もったいないだなんて言ってもらえたことに涙が溢れそうで、それが癪で私は強がりました。

 

大丈夫。大丈夫だよ。このままなんてならないから。

 

それからもうすぐ4年ですが私は以前のままです。むしろ以前より悪い状況かもしれません。

彼は次の春には医者になるでしょう。私の手の届かない世界にいきます。いや、もうずっと前から手の届かない存在でした。

 

 

夢を見ました。彼が今でも私を気にかけてくれている夢でした。

同窓会か何かでまた彼と再開しました。すごく気にしてくれて、そうしてふとした瞬間にキスをされました。私に付き合っている人がいる、と知っていてそれでもキスをした彼を不誠実だと思いました。でもそれがあまりに心地よくて、ああこれは夢なんだとほんのり思いました。

でもはっきり自覚したらきっと覚めてしまうから、もう少しだけ夢に浸っていたい、そう思いました。

あまり覚えていないけれど何か揉め事が起きて彼をかばおうと、彼の為に何かを言わなければと思って喋った自分の声で目覚めてしまったのです。

その甘くて心地よかったキスのことだけがはっきり頭に残って離れません。他の夢のようにいっそ忘れてしまえればいいのに。

 

 

すっかり彼のことなんて忘れていたと思ったのに、夢を見てああ、やっぱり好きだったんだなぁなんて思ったりしました。

今でも好きかと言われたらそんなことはないと思うのですが、なにせ当時大嫌いだと公言していた分、今更、実はあの時好きだったんだよねーなんて恥ずかしすぎてリアルじゃ誰にも言えない。本当にあらゆる人に大嫌いだと言っていたのです。友人にも、教師にも、親にも。

 

人間的に魅力のある人だと思うのです。

彼とはいい友人でいたかったな、なんて虫のいい事を今更思ったりして。

でも今の私は彼に会えないなぁ。この状況で連絡をとろうという気持ちにはなれない。

いつの日か、もう少し成長できたなら彼に連絡してみようか。

 

 

なんて思って、お昼寝なんてしてる時点で終わってるわーって自分に絶望して。

とりあえずスーパーに行かなくてはいけないし、勉強も今日からきちんと再開しようと思います。

 

 

おわり。